Get it on


「万尋さん、コレとかどう?」
「え?ナニが?」

部屋でパソコンを覗いていると、真矢から突然話を振られた―
全く話を聞いていなかった宇崎に苦笑して。真矢はもう一度初めから説明を始める・・・

「だから。今年のクリスマスはナニが欲しいかな?っていう話です」
「あぁ・・・そっか。ゴメンゴメン」

謝りながら、真矢の隣へと座った宇崎に真矢は微笑んで。

「コレなんだけど・・・どうかな?」
「コレ?」

真矢が指したページにはペアリングが並んでいて―

「えぇ!?リング・・・」
「うん。前から欲しかったし!万尋さんはこういうデザインが好きでしょ」
「え・・・うん、好きだけど・・・」
「・・・俺と一緒のリングは嫌?」
「ちがっっ・・・!!嬉しいよ。嬉しいけど・・・」
「けど?」
「・・・・・・・」
「万尋さん?」

俯いて、黙り込んだ宇崎を抱きしめ―真矢はそっと囁く。

「ゴメン・・・まだ早かったね。今年は違うプレゼントを考えるよ」
「真矢!」
「万尋さん?」

宇崎は真矢に抱きつき―「違うんだ・・・」と呟く―

「万尋さん・・・?」
「違うんだ・・・えっと・・・その・・・」
「万尋さん、落ち着いて?」

真矢は宇崎を抱きしめ返して―そっと額にキスをした。そして・・・

「ちょっといい?」
「真矢?」
「何か飲み物作るね・・・」
「・・・うん・・・」

そう言って真矢は立ち上がり―キッチンでココアを入れてくれた。
「はい。万尋さん」と、マグカップを手渡され、宇崎は受け取り一口飲む。
それはとても優しい味がして―ざわついていた心に染み渡る・・・
ホッと一息ついた宇崎を見て、真矢は微笑んだ。そして―

「万尋さん・・・落ち着いた?」
「うん・・・ゴメンな。」
「うぅん」
「あのな・・・真矢」
「うん」
「えっと・・・一緒のリングが嫌なんじゃなくて・・・その・・・チョット動揺して・・・」
「動揺?」
「うん・・・その・・・全然考えてなかったら・・・ゴメン」
「謝らないで?万尋さん」
「真矢?」
「俺こそ早まってゴメンね?」
「真矢・・・」
「リングはまた今度でいいよね?」

「じゃあ。どれにしようかな・・・」と雑誌を捲る真矢をじっと見ていた宇崎は―

「真矢・・・俺はリングがいい・・・」
「え?万尋さん?」
「真矢と一緒のリングがいい・・・」
「・・・いいの?」
「うん。俺はそれが一番欲しい―」
「万尋さん・・・」
「真矢は?」

そう言って問いかける宇崎に、真矢は泣き笑いの顔で―

「・・・うん。俺も・・・万尋さんと一緒のリングがいいです・・・」

ギュッと抱きしめた宇崎の体は暖かくて―この人を好きになってよかった―と心から思う・・・

「・・・ありがとう万尋さん」
「ううん。俺の方こそ・・・ありがとう緋琉」

珍しく宇崎から寄せられた唇にそっと触れ―真矢は嬉しさでいっぱいになっていた・・・



クリスマスまで後7日―






2006.12.19 UP